1949 OSCA MT4 1100 “Siluro”

DETAIL

1947年、マセラティ社の経営権を握っていたオルシ家と決別したマセラティ兄弟は、彼らの故郷であるボローニャに、”O.S.C.A (Officine Specializzate Costruzioni Automobili)”を興しました。純粋にレースコンストラクターとしての活動を望んだ彼らの第二の目標は”Grand Prix”ではなく、小排気量レーシングスポーツカテゴリーでの勝利でした。1948年、マセラティ兄弟は、OSCAの第一号車となる”MT4 (Maserati Tipo 4 cilindri)”を製造し、イタリア国内レースに参戦します。1948 G.P.DI NAPOLIでの総合優勝を皮切りに、1949 CIRCUITO DI PESCARA、G.P.DI MADRIDと勝利を重ね、迎えた1950年のMille Migliaでは、Luigi Fagioli/G.DiotalleviドライブのMT4 1100が、クラス1位、総合7位に入る健闘を見せます。その後もMT4は1100ccクラスで抜群の強さを発揮し、Mille Migliaをはじめとするイタリア公道レースで華々しい戦果を残しました。ル・マン24時間、セブリング12時間、ツール・ド・フランス他、イタリア国外においても、MT4は常にクラス上位を独占するほどの圧倒的な強さを誇り、OSCAの名は一躍世界のレース界に轟くことになりました。

紹介する”OSCA MT4 c/n:1103″は、”Siluro(シルロ:魚雷)”ボディを架装するMT4の第2号車で、1949年5月、イタリア・トリノの”Montezemolo”家にデリバリーされ、1949年5月26日のデビュー戦”COMO-LIETO COLLE”でクラス4位、続く7月の”SUSA-MONCENISIO”でクラス5位、8月の”AOSTA-GRAN SAN BERNARDO”でクラス5位という戦績を収めています。OSCAが設計、製造したシャーシ、鋳鉄製ブロックとアルミ製シリンダーヘッドで構成される1092cc直列4気筒SOHCエンジン(s/n:1103)、4段ノンシンクロギアボックス、ディファレンシャル、サスペンション、ブレーキは非常にクォリティが高く、マセラティ兄弟のレースにかける情熱が伺えるほど美しいものです。長くスイスのコレクションに眠っていたこの個体は、2000年のRM MONACO AUCTIONで競りにかけられ、その後日本に上陸しました。ボディを構成するあらゆるパネル類にシャーシナンバー:1103が確認され、この個体のオリジナリティの高さを証明しています。メインフレームのシャーシナンバーは所定の打刻位置とは別の場所に打たれていましたが、右側前方の所定の打刻位置を削ってみたところ、厚く塗られたペイントの奥に、見事にオリジナルのシャーシナンバー:1103を確認できました。

MT4最初期のディテールを色濃く残すオリジナリティ高い一台。SiluroボディにオリジナルSOHCエンジンを搭載した最初期モデルは現存この個体のみと言われています。

SALES
SOLD OUT
Chassis Number
1103
Engine Number
1103
Restored
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